株式会社オウケイウェイヴ【3808】の現状と今後を第26期有価証券報告書から探る

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企業概要

事業内容とリスク

株式会社オウケイウェイヴ(OKWAVE, Inc.)は、「世界中のありがとうの物語を蓄積し可視化する」という理念を掲げる企業です。中核となるのはQ&Aコミュニティ「OKWAVE」の運営で、利用者が「教える」「答える」「ありがとう」を循環させることで、互助の文化を生み出すことを目的としています。この仕組みを基盤に、法人向けサービスや感謝を可視化する仕組みを提供し、組織内コミュニケーションの改善を支援しています。

主力事業は以下の3つに分類されます。

  • OKWAVE/OKWAVE Plus
    オープンなQ&Aプラットフォームとして個人が自由に質問・回答できるサービスを提供。広告収入が中心です。法人向けには「OKWAVE Plus」として、企業内や顧客間でのQ&Aコミュニティを構築できる仕組みを提供しており、月額サブスクリプションモデルで収益化しています。
  • GRATICA(グラティカ)
    組織内での「ありがとう」を可視化するクラウドサンクスカードサービス。企業文化や従業員エンゲージメントの向上を支援するもので、法人からの定額利用料収入が柱です。
  • Sincerely yours(シンシアリーユアーズ)
    中高年層を中心に、人柄を重視したオンラインマッチングサービス。文通のような交流を通じて、信頼関係を築く仕組みを提供しています。

これらの事業はいずれも「人と人とのつながり」を重視し、感謝や共感を軸とした社会的価値を創出しています。一方で、AIの進化やSNSの多様化による競争激化は大きなリスクです。特に生成AIが「質問と回答」を自動化する領域に進出しているため、Q&A形式の価値をどのように再定義するかが今後の課題です。また、サイト内で誤情報や誹謗中傷が発生するリスクも常に存在し、健全なコミュニティ運営が信頼維持の鍵となっています。

過去にはガバナンス不備による特設注意市場銘柄指定を受けた経緯がありますが、2024年5月に指定解除。以降、法令遵守や内部監査体制を強化し、企業再建の道を歩んでいます。

今までの業績

過去5年間の推移を見ると、オウケイウェイヴは長らく厳しい経営環境にありました。売上高は2021年6月期の約2.2億円から、2023年には約1.5億円にまで減少。その後2025年6月期には約2.3億円と反発しましたが、営業損失は継続しており、利益面での回復は道半ばです。

2022年には、投資運用先であるRaging Bull合同会社の債権取立不能により多額の損失を計上。これにより純資産が一時マイナスとなり、上場維持基準の危機に直面しました。2023年には連結子会社化したアップライツ関連の損失を計上し、債務超過状態が続きましたが、増資や借入金の株式化によって2024年に債務超過を解消しています。

特筆すべきは、2025年6月期に営業キャッシュフローが約6,400万円の黒字に転換した点です。これは過去数年で初めての営業活動による資金創出であり、上場廃止リスクを回避する決定打となりました。ただし、営業損失自体は約1億円規模で続いており、黒字化にはもう一段の事業効率化が求められます。

従業員数は2019年の109名から2025年には13名にまで減少。組織スリム化によりコスト削減を徹底する一方、人材流出によるノウハウ継承リスクも課題です。

経営の安定化に向けて、広告収益の構造改革が進められました。従来のアドネットワーク広告から脱却し、純広告や高単価の企業案件にシフト。2025年にはGFA株式会社のWebプロモーション業務を受託するなど、B2B領域での新しい収益源を確保しています。

今後の業績

今後の展望として、オウケイウェイヴは「互助×テクノロジー」による再成長を掲げています。経営戦略は以下の3本柱です。

  1. 既存事業の収益改善
    Q&AコミュニティやGRATICAを中心に、顧客データ分析に基づくリソース再配分を進め、確実性の高い事業へ集中。コスト削減効果を最大化し、営業損益およびキャッシュフローの改善を図ります。
  2. M&Aによる事業ポートフォリオの拡大
    2024年に子会社化した株式会社オープンサイト(オンラインマッチング事業)を皮切りに、収益力のある事業の買収を通じて成長を加速させる方針です。これにより、Q&A・HR・マッチングの3領域で収益分散を目指します。
  3. 財務基盤の安定化
    余剰子会社の清算を進め、資金の有効活用を図るとともに、金融機関との協力関係を強化。将来的には新たな資本増強策も検討されています。

経営環境面では、生成AIの台頭を脅威としつつも、「人間同士の共感」や「ありがとうの可視化」といった非AI的価値を強調する方向です。Q&Aの自動回答ではなく、感謝の可視化や心理的安全性の向上といった“人にしかできない領域”での差別化を進めています。

中期的には、法人向けSaaS(OKWAVE Plus・GRATICA)の安定収益化が鍵を握ります。継続課金型モデルの積み上げにより、収益の見通しを高めることができれば、営業黒字化の可能性は十分にあります。また、オンラインマッチング事業とのシナジーにより、個人課金モデルの強化も期待されています。

ただし、継続企業の前提に「重要な不確実性」が存在することも事実です。営業損失が続く限り、資金繰りや信用リスクが再燃する可能性があります。今後は、安定収益を生む事業の確立と資金調達の多様化が重要となるでしょう。

業種平均の比較分析

指標比較表

指標オウケイウェイヴ業種平均(情報・通信業)差異(企業-業種平均)備考
自己資本当期純利益率(ROE)-55.6%10.68%-66.28pt連続赤字によりマイナス圏
総資産経常利益率-9.3%(推定)5.45%-14.75pt経常損失継続による低水準
売上高営業利益率-48.8%(推定)11.36%-60.16pt営業損失1.1億円による大幅赤字
自己資本比率18.9%32.89%-13.99pt債務超過解消後も低水準
配当性向37.14%無配につき算出不可
純資産配当率3.45%無配につき算出不可

コメント・詳細分析

① 自己資本当期純利益率(ROE)

自己資本当期純利益率(ROE)は、企業が株主資本をどれだけ効率的に活用して利益を生み出したかを示す重要な指標です。情報・通信業全体の平均値が 10.68% であるのに対し、オウケイウェイヴは -55.6% という大幅なマイナスを記録していま。

この極端な乖離の背景には、長期的な赤字構造があります。同社は2021年以降、Raging Bull合同会社への投資損失や子会社アップライツ関連の評価損を計上しており、4期連続で当期純損失を計上しました。ROEがマイナスということは、株主資本が利益を生み出すどころか、価値を毀損している状態を意味します。

ただし、注目すべきは2025年期において損失額が 前期比半減 している点です。これは営業キャッシュフローが黒字化に転じたこと、そして新規M&Aによる売上増が寄与しています。現時点では「再建フェーズ」と言え、ROEがプラスに転じるのは営業黒字化が実現したタイミングになるでしょう。中長期的には、法人向けSaaS(OKWAVE Plus、GRATICA)の安定収益化がカギです。

② 総資産経常利益率

総資産経常利益率は、企業が保有する資産全体からどれだけ経常的な利益を生み出せているかを示す指標です。業種平均 5.45% に対し、オウケイウェイヴは 約-9.3%(経常損失1.6億円/総資産17億円)と、約15ポイント低い数値です。

マイナス要因は、広告収益の減少と高コスト体質にあります。特に、検索エンジンのアルゴリズム変動によるPV減少が広告売上を直撃しました。2025年期には純広告や高単価案件への転換を進め、営業キャッシュフローを黒字化するまで回復しましたが、依然として営業損失が残っています。

総資産経常利益率が改善に向かうには、

  • ①高付加価値サービス(法人向けQ&A構築・GRATICA導入)の増加、
  • ②広告依存体質からの脱却、
  • ③M&Aによる収益源の多角化、
    が欠かせません。
    資産効率を高めるためには、固定費のさらなる削減と、少人数運営における利益率改善が求められます。

③ 売上高営業利益率

売上高営業利益率は、売上から営業利益をどの程度確保できたかを示す収益性の指標です。業種平均 11.36% に対し、同社は 約-48.8%(営業損失1.1億円/売上2.3億円)と極めて低い水準です。

この赤字率は一見深刻ですが、実は「縮小均衡からの脱却期」にあることも見逃せません。
2023年には売上1.4億円・営業損失3.6億円という状況でしたが、2025年には売上が約60%増加、損失は3分の1に減少しています。これは、無駄な外注費・専門家報酬の削減、オフィス移転による固定費削減、広告商材の見直しなど、徹底したコストコントロールの成果といえます。

ただし、営業利益率をプラスに転じさせるには、単なるコスト削減では限界があります。今後の成長戦略として、GRATICAやOKWAVE Plusの法人契約数を増やし、ストック収益の割合を高めることが重要です。安定したサブスクリプション収益が積み上がれば、収益の季節変動を抑制し、営業利益率の改善が加速するでしょう。

④ 自己資本比率

自己資本比率は、企業の財務健全性を示す指標であり、総資産に占める自己資本の割合を示します。業種平均が 32.89% であるのに対し、オウケイウェイヴは 18.9% にとどまっています。

この水準は「やや脆弱」な部類に入ります。2023年には債務超過に陥りましたが、2024年の増資・借入金の株式化により黒字資本へ転換しています。再建段階にある企業としては、着実に改善傾向が見られます。

今後、M&Aや新規事業投資を進めるにあたっては、自己資本の厚みが信用力を左右します。現預金が増加し流動性が改善していることはプラス要素ですが、今後は資金調達手段を借入よりも株式発行や営業CFで賄える体制へ移行することが望ましいでしょう。

また、2025年期末時点での現金及び同等物残高が約5.4億円と過去5年間で最高水準にある点も評価できます。財務基盤は確実に回復基調にあります。

⑤ 配当性向

配当性向は、当期純利益のうち株主にどれだけ還元しているかを示します。業種平均が 37.14% であるのに対し、オウケイウェイヴは 0%(無配) です。

2017年以降、同社は無配を継続しています。2021年期には特別配当を実施した実績がありますが、以降は赤字継続のため配当余力がありません。
投資家の視点では、現段階で配当を期待するフェーズではなく、まずは「安定黒字化」が優先される局面です。

もっとも、営業キャッシュフローが黒字に転じたことで、将来的に配当復活の可能性が見えてきました。経営再建が定着し、ROEがプラスに転じる時期(おそらく2027年以降)に、記念配当または象徴的な再開配が行われる可能性があります。長期配当投資を狙う場合は、この黒字転換タイミングが重要な注視点です。

⑥ 純資産配当率

純資産配当率(DOE)は、企業が純資産に対してどの程度の配当を実施しているかを示します。業種平均 3.45% に対し、オウケイウェイヴは 0%(無配) です。

この指標は、利益が一時的に低迷しても、純資産を基準に安定的な配当政策を評価できる点で長期投資家が重視します。
現状の同社は配当余力がないためDOEは算出不能ですが、もし今後営業黒字化を果たし、純資産が安定的に増加すれば、将来的には「DOE連動型配当方針」を掲げる可能性があります。

再建企業においては、配当よりもまず自己資本の充実を優先する段階にありますが、黒字化後の持続的還元を志向する姿勢を明示できれば、株主の信頼回復に大きく寄与します。

配当方針と今後の展望

1. 有価証券報告書に見る配当実績と配当方針

(1)配当実績の推移

有価証券報告書によれば、オウケイウェイヴの過去5期における1株あたり配当額は以下の通りです。

決算期1株当たり配当額(円)配当性向(%)備考
第22期(2021年6月)30.06.8特別配当30円を含む
第23期(2022年6月)無配
第24期(2023年6月)無配
第25期(2024年6月)無配
第26期(2025年6月)無配

2021年の特別配当を最後に、4期連続で無配となっています。
2021年当時は業績が黒字であったため、株主への感謝を込めた「特別配当」という位置付けでした。しかしその後、投資損失や債務超過の発生により、配当実施が困難な状況に転落しています。

(2)現行の配当方針

有価証券報告書の「株主還元に関する方針」には、次のような記述が確認できます(要約):

「当社は、将来の事業拡大に備えるための内部留保を確保しつつ、財務状況や業績、今後の事業展開などを総合的に勘案し、株主に対する安定的かつ継続的な利益還元を目指します。ただし、現時点では業績の回復を優先し、配当は見送る方針です。」

つまり同社は、「配当の再開を最終的な目標としつつも、当面は事業再建と内部留保の確保を優先」という立場を明確にしています。財務の健全化と継続企業としての安定性を確保しなければ、株主還元は実現しないという現実的な認識です。

2. 財務指標からみた配当再開の可能性

(1)自己資本と現金水準の改善

2025年6月期の有価証券報告書によると、同社の純資産は 372百万円 と、債務超過を脱しています。自己資本比率も 18.9% まで回復し、流動資産のうち現金および同等物は 約5億4,000万円 に増加しました。
これは、2024年期の3億円弱から倍増しており、資金繰りの安定化が進んでいることを意味します。

さらに、2025年期では営業キャッシュフローが6,446万円の黒字と、5期ぶりのプラスに転換。これは名古屋証券取引所ネクスト市場の上場維持基準(業績)を満たす重要な転換点でした。

このように、営業活動で現金を生み出せる体制が整い始めており、配当原資となる内部留保を積み上げる準備段階に入ったといえます。

(2)営業損失の縮小と事業効率化

営業損失は依然として -1億1,474万円 ですが、前期の約 -3億6,000万円 から 3分の1以下 に改善しています。特に、

  • オフィス縮小・移転
  • 専門家報酬の減額
  • 不採算事業の整理
  • 高単価広告案件への転換

などのコスト削減策が寄与しています。
これにより、赤字ながらも再建が軌道に乗り始めている段階であり、2026〜2027年度には営業黒字化の可能性が見えてきます。

(3)資本政策と増資の影響

同社は2023年に株主割当増資および借入金の株式化を実施しており、資本を増強しました。これにより、財務リスクを低減し、継続企業としての信頼を取り戻しています。
ただし、新株発行により株式数が大幅に増加したため、将来的に配当を再開する場合、1株あたり配当額が抑えられる可能性が高い点には注意が必要です。

3. 配当関連指標の分析

指標2025年6月期備考
自己資本当期純利益率(ROE)-55.6%赤字継続によりマイナス
自己資本比率18.9%債務超過から回復
配当性向無配につき算出不可
純資産配当率(DOE)無配につき算出不可
営業キャッシュフロー+64百万円黒字転換済み

ROEのマイナスは依然深刻ですが、損失幅の縮小と営業CFのプラス化は「再び配当を出せる企業体質」への第一歩といえます。

一方、業種平均の配当性向(情報・通信業)は約 37%、純資産配当率(DOE)は 3.45% とされています。オウケイウェイヴがこれらに近づくには、まず営業黒字化を達成し、利益剰余金を安定的に積み上げる必要があります。
仮に2026年度に当期純利益1,000万円を確保できれば、配当性向30%としても年間配当額は数円レベルにとどまる見通しです。初期段階では「象徴的な再開配(記念配)」が現実的でしょう。

4. 今後の配当方針を予測する

(1)短期(〜2026年度)

現時点では「配当再開よりも再建の安定化」を最優先しています。2026年度の目標は営業黒字化であり、利益余力を確保したうえで、まずは累積損失の解消に充てるとみられます。
この段階では無配継続が濃厚です。

(2)中期(2027〜2028年度)

この頃には、新たに子会社化した株式会社オープンサイト(オンラインマッチング事業)の収益貢献が本格化すると予想されます。また、法人向けSaaS事業(OKWAVE Plus・GRATICA)の定着により、継続課金型収益の基盤が整う見通しです。

営業利益が黒字化し、純利益が数千万円〜1億円規模に安定すれば、

  • 記念配(1株あたり1〜2円)
  • DOE 1%前後の象徴的還元
    といった小規模配当が復活する可能性があります。
    この時点での配当再開は、株主への「信頼回復シグナル」として大きな意味を持つでしょう。

(3)長期(2029年度以降)

本格的な配当政策転換が見込まれるのはこのフェーズです。
経営再建が完了し、営業利益率が10%前後まで改善すれば、業種平均の配当性向(37%前後)を目指す方針が掲げられる可能性があります。

オウケイウェイヴの理念は「ありがとうの可視化」であり、株主還元もその延長線上にあります。経営陣がこの理念を再び株主にも届けるために、「安定的・持続的・誠実な配当」という形で復活させる展開が想定されます。

5. 投資家視点での展望と注目ポイント

  1. 営業キャッシュフローの黒字化は重要な転換点
    赤字企業にとって営業CFのプラス化は「企業が自力で生き残れる」ことを意味します。今後もCFベースでの健全経営を継続できるかが配当再開の前提条件です。
  2. 自己資本比率20%超えが信頼回復ライン
    債務超過からの脱却は達成しましたが、まだ余裕があるとは言えません。自己資本比率が20%を超え、安定して推移すれば金融機関や投資家からの信頼が再構築され、配当原資確保への道が開けます。
  3. M&A戦略の成功が分岐点
    オープンサイトなど収益力のある子会社が継続的に利益を上げれば、単体赤字を補う形で配当余力が生まれます。逆に、買収した事業が不振に陥れば再び減資・無配が続くリスクもあります。
  4. 「配当よりも成長投資」フェーズである点に注意
    現在のオウケイウェイヴは、再生途上企業として、利益を事業基盤の強化・AIやWeb3.0開発への投資に回す必要があります。配当よりも企業価値向上を重視する期間があと2〜3年続くでしょう。

長期配当投資評価

レーティング評価:

評価コメント

オウケイウェイヴ(OKWAVE, Inc.)は、現時点では長期配当目的の投資先としてはおすすめできない(★1)と評価します。理由は、配当利回り・持続性・増配実績のいずれの観点からも、安定配当株とは対極にある再建途上企業であるためです。

まず配当利回りについては、2021年6月期に特別配当(30円)を実施したのを最後に、4期連続で無配となっています。直近(2025年6月期)も配当予想はなく、利回りは実質0%です。株価水準自体が低いため、将来配当再開時のインカム効果は一定期待できるものの、「利回り投資」の観点からは対象外です。

次に配当の持続性です。同社は2022年以降、Raging Bull合同会社への投資損失や子会社の評価損などにより、債務超過・赤字が続きました。2025年期にようやく営業キャッシュフローが黒字化し再建段階に入りましたが、営業損失自体は1億円超。現時点で配当原資となる利益剰余金も乏しく、仮に今後黒字転換しても、当面は内部留保の積み増しを優先する段階にあります。したがって、安定配当を維持できる収益基盤が整うまでには少なくとも数年を要する見込みです。

さらに連続増配の実績については、そもそも近年は配当を実施していないため、比較対象に値しません。日本株の中で長期配当株とされるのは、三菱HCキャピタルやKDDI、花王など「増配10年以上・配当性向30~50%」を維持する企業群ですが、オウケイウェイヴはそれらとはステージが大きく異なります。企業再生段階にある同社を、増配銘柄や高配当株と同列に扱うのは適切ではありません。

ただし、再建シナリオが順調に進み、SaaS型事業(OKWAVE Plus/GRATICA)が安定収益化すれば、長期的には「配当復活→象徴的増配」への転換余地はあります。その際の配当性向は30%前後、利回り1〜2%程度が現実的な水準でしょう。しかし、それは少なくとも3〜5年後の話です。

結論として、現状のオウケイウェイヴは「配当より再生」フェーズにあるため、長期配当狙いの投資先としては極めてリスクが高い銘柄といえます。将来的な復活に期待する成長型・再建型投資であれば一定の妙味はありますが、「長期安定配当銘柄」という観点では★1が妥当です。