河西工業株式会社【7256】の現状と今後を第94期有価証券報告書から探る

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企業概要

事業内容とリスク

河西工業株式会社(KASAI KOGYO CO., LTD.)は、自動車内装部品の専門メーカーとして、ドアトリムやルーフトリム、ラゲッジトリム、防音部品などを手がけています。創業から100年以上の歴史を持ち、国内外の主要自動車メーカーに製品を供給しており、特に日産自動車との関係が深い企業です。現在は日本・北米・欧州・アジアに15の連結子会社を展開し、グローバル体制で事業を行っています。

主力製品は「自動車内装トリムシステム部品」であり、車内の静粛性やデザイン性を高める重要な要素を担います。世界の主要自動車メーカー(NISSAN、HONDA、TOYOTA、SUBARU、VOLKSWAGEN、JAGUAR LAND ROVERなど)に製品を納入しており、地域ごとに開発・生産・販売を自律的に行う体制が整っています。

一方で、同社はここ数年、経営再建の真っただ中にあります。新型コロナ禍以降の世界的なサプライチェーン混乱、原材料・エネルギー価格の高止まり、人件費の上昇、そして米国の関税政策などが影響し、収益は圧迫されました。特に北米事業では赤字が続いており、これが経営課題の中心となっています。

さらに、為替変動リスクや自動車業界の電動化の波も無視できません。EV化により車両構造が変化すると、従来の内装部品の需要や設計が変わる可能性があります。同社はこうした変化に対応するため、付加価値の高い「快適な移動空間」の創造を掲げ、軽量化や環境対応素材の研究開発にも力を入れています。

また、2024年11月には日産自動車を割当先とする第三者割当増資を実施。日産から派遣された2名が取締役として参画し、1名は代表取締役社長に就任しました。これにより資本・経営両面で日産との連携を強化し、再建に向けた新体制がスタートしています。

今までの業績

過去5年間の連結業績を振り返ると、同社は長期的に厳しい経営局面が続いてきました。
売上高は2021年3月期の1,527億円から2025年3月期には2,188億円まで回復しましたが、利益面では苦戦が続いています。経常利益は2023年3月期にマイナス138億円、2024年3月期に17億円の黒字転換を果たすも、2025年3月期は再び12億円の赤字となりました。純損益も9期連続赤字となっており、2025年3月期は91億円の純損失を計上しています。

特に北米子会社「KASAI NORTH AMERICA, INC.」の業績悪化が全体の足を引っ張っています。2025年3月期には同社単体で86,447百万円の売上高に対し、52億円の経常損失、84億円の純損失を計上しました。メキシコ子会社も赤字で、グループ全体の収益構造改革が喫緊の課題です。

一方、日本国内事業は黒字基調を維持しており、品質・納期の安定供給力で日産・ホンダなどからの受注を確保しています。アジア地域でも一定の成長を続けており、中国やインド、タイ、インドネシアなどで現地生産体制を整備しています。

財務指標を見ると、自己資本比率は8.6%(2025年3月期)と依然として低く、債務超過リスクが残ります。親会社株主に帰属する当期純損失は前年の15億円から91億円に拡大。これにより、1株当たり純資産額も162円と大幅に減少しています。キャッシュフロー面では営業活動によるキャッシュフローが9億円のプラスへ改善しており、資金繰りの安定化に一定の成果を見せています。

さらに、同社は「KASAI Turnaround Aspiration(KTA)」という中期経営計画を2025年4月に発表し、2027年度に営業利益率4~5%を目指すとしています。この計画は主に3つの柱で構成されています。

  1. 北米事業構造改革による収益改善
  2. キャッシュコンバージョンサイクルの改善によるフリーキャッシュフロー創出
  3. グローバル組織・プロセスの再構築

このように過去の損失を踏まえつつ、再建に向けた明確な道筋を描いている点は注目に値します。

今後の業績

2026年3月期の業績予想では、売上高2,000億円、営業利益35億円、経常利益15億円、当期純損失20億円と見込んでいます。依然として最終赤字の見通しですが、営業段階での黒字転換が続くことから、再建の兆しが見えつつあります。

最大の焦点は「北米事業の立て直し」です。北米市場では日産、ホンダ、トヨタ、フォルクスワーゲンといった主要顧客を抱えていますが、製造コストや物流費の上昇が収益を圧迫してきました。これに対し、同社は拠点再編と不採算事業の撤退を進め、現地での生産効率化を加速しています。また、日産自動車との協働により、調達・開発プロセスの最適化を図り、構造的な改善を狙っています。

国内ではEVシフトに伴う新素材・軽量化部品への需要増に応えるべく、技術開発を強化。AIやCAE解析を用いた設計自動化や、環境対応樹脂などの新素材開発にも注力しています。さらに、脱炭素経営にも積極的で、2030年度までにCO2排出量を2019年度比で30%削減する目標を掲げています。

人的資本経営の観点からも、社員のエンゲージメント向上と女性管理職比率の引き上げ(2026年までに9%目標)を掲げ、企業文化の再構築を進めています。これは長期的な経営基盤の強化につながる取り組みといえます。

個人投資家にとって注目すべきは「配当再開のタイミング」です。現状は無配が続いており、財務健全性回復後にどの段階で配当を再開するかが焦点となります。KTA計画の達成によって営業利益率が5%前後まで改善し、債務超過を脱すれば、安定配当企業への回帰が見えてくるでしょう。

今後3年間は再建フェーズが続きますが、日産の支援を受けた新経営体制のもとで構造改革が着実に進めば、2027年度以降の黒字定着と配当復活も現実的なシナリオです。自動車業界の電動化や環境対応の流れを追い風に、同社がどのように「内装技術の老舗」から「次世代モビリティの快適空間メーカー」へと転換できるかが、今後の投資判断のカギとなるでしょう。

業種平均の比較分析

指標比較表

指標業種平均河西工業差異(企業-業種平均)
自己資本当期純利益率(ROE, %)8.45-81.1-89.55
総資産経常利益率(%)5.74-0.89-6.63
売上高営業利益率(%)6.860.79-6.07
自己資本比率(%)40.768.6-32.16
配当性向(%)32.850.0-32.85
純資産配当率(%)2.650.0-2.65

コメント・詳細分析

① 自己資本当期純利益率(ROE)

ROEとは、株主が投資した自己資本に対してどれだけの利益を上げたかを示す指標です。
河西工業のROEは -81.1% と極めて厳しい数値であり、業種平均 8.45% に対して 約90ポイント下回る結果 となっています。

主な要因は、当期純損失が9期連続で続いていることにあります。2025年3月期も純損失は91億円に達し、利益剰余金の減少とともに自己資本が著しく毀損しました。自己資本利益率のマイナス幅が大きいことは、株主資本が収益を生み出すどころか、損失の吸収源となっていることを意味します。

業種全体では電動化・グローバル供給網再編の中でも高収益を維持する企業が多い一方、河西工業は北米事業の赤字や減損損失の影響を受け、依然として構造的赤字体質から脱却できていません。ROEをプラスに戻すには、経常黒字の安定化だけでなく、資本効率の再構築(不採算拠点の圧縮・固定資産削減・優先株発行による資本増強)が欠かせません。

② 総資産経常利益率

総資産経常利益率は、企業が保有する総資産からどれだけ効率的に経常利益を生み出しているかを表す指標です。
業種平均は 5.74% に対し、河西工業は -0.89% と、利益を生み出すどころか損失を計上しています。差は -6.63ポイント です。

これは、売上が増加しているにもかかわらず、北米・メキシコ・中国などの子会社で大幅な経常損失が発生しているためです。とくにKASAI NORTH AMERICA, INC.が 5271百万円の経常損失 を計上し、グループ全体の収益を押し下げています。

総資産は約1,448億円と規模が大きい一方で、収益力が追いついていません。資産効率を高めるためには、在庫や固定資産の圧縮、遊休資産の売却、借入金削減による利息負担の軽減などが不可欠です。
短期的には、資産規模の縮小とともに収益体質を再構築する「筋肉質経営」への転換が課題となります。

③ 売上高営業利益率

営業利益率は、企業の本業における利益率を示します。
業種平均が 6.86% に対し、河西工業は 0.79%(2024年度黒字期実績)と 約6ポイント低い水準 です。

ただし注目すべきは、この数値が「黒字転換」を果たした直後のものである点です。2021~2023年度の営業損失を経て、2024年度に4期ぶりに黒字化し、2025年度も営業段階ではプラスを維持しました。
この改善の背景には、日本・アジア事業の採算回復や、固定費削減、製造ラインの統合などが挙げられます。

しかし北米では依然として赤字が続き、現地工場の稼働率や物流コストが重荷となっています。業界平均に近づくには、グローバル生産体制の最適化が必須であり、今後は「KTA計画」で掲げた営業利益率4~5%目標の達成がカギとなります。

長期的に見れば、製品ラインナップの見直し(EV対応内装・防音素材など)と高付加価値製品の開発により、マージン改善の余地はあります。

④ 自己資本比率

自己資本比率は、企業の財務健全性を示す代表的な指標です。
業種平均 40.76% に対し、河西工業は 8.6%。差は -32.16ポイント と、非常に低い水準にあります。

過去の累積赤字によって純資産が大きく減少しており、資本構成の脆弱さが目立ちます。特に2025年度には債務超過に近い状態が続き、優先株式の発行(約582万株)によって辛うじて資本を維持している状況です。

このような低自己資本比率は、金融機関からの信用力低下を招くリスクがあります。金利上昇局面では調達コストの増加にもつながるため、今後は内部留保の積み増しや、固定資産の売却・デレバレッジを通じた財務体質強化が必須です。
ただし、日産自動車の資本参加による支援は、信用補完的な効果を持つ点で大きな救済策といえます。

⑤ 配当性向

業種平均の配当性向は 32.85%。しかし河西工業は 0%(無配) が続いています。
差は -32.85ポイント であり、株主還元という観点では完全に停止状態です。

無配の背景には、長期赤字と財務再建の優先があります。連続赤字により配当可能利益が存在しないため、配当実施が法的にも難しい状況です。
ただし、2024年度以降は黒字化の兆しが見え始めたため、将来的に業績が安定すれば、配当復活の可能性はあります。

KTA計画では「フリーキャッシュフローの創出」を経営目標の一つに掲げており、財務体質が改善した段階で「安定配当」方針への回帰が見込まれます。日産グループの再建支援を受けた経営基盤の下で、数年後に復配が実現すれば、配当利回り型投資家にとって再注目される銘柄となるでしょう。

⑥ 純資産配当率(DOE)

純資産配当率(Dividend on Equity)は、株主資本に対してどれだけの配当を行っているかを示す指標です。
業種平均 2.65% に対し、河西工業は 0% です。差は -2.65ポイント

DOEがゼロであることは、株主への還元よりも再建を優先している状態を意味します。通常、業績変動が激しい企業では、ROEに依存せずにDOEを安定的に維持することで、配当方針の透明性を確保するケースが増えています。
その意味で、同社が将来的にDOEを安定化指標として導入すれば、投資家にとって信頼性の高い中長期的投資対象となる可能性があります。

配当方針と今後の展望

現在の配当状況と配当関連指標

第94期(2025年3月期)の有価証券報告書によれば、河西工業は無配(0円)を継続しています。
これは、2021年度以降の連続赤字により、配当可能利益が存在しないためです。

報告書内の財務指標は以下の通りです。

指標コメント
1株当たり配当金0円5期連続で無配
配当性向-(算出不可)当期純損失のため
純資産配当率(DOE)0%自己資本の毀損により算定不能
自己資本比率8.6%極めて低い水準
当期純損失△91億円債務超過に近い状況
ROE△81.1%自己資本の減少が顕著

このように、現時点では「配当を行える財務的余裕がない」というのが実情です。
特に、自己資本比率8.6%という数値は、製造業としては異例の低水準であり、まずは財務再建が優先課題となります。

有価証券報告書における配当方針の明記

報告書の「株主に対する利益配分に関する基本方針」には、次のように記載されています(要約):

「当社は、企業価値の持続的な向上を基本方針とし、安定的かつ継続的な配当の実施を目指している。しかし、現状は経営再建の途上にあり、内部留保の充実および財務基盤の強化を優先するため、当期の配当は見送る。」

つまり、現時点では明確に「復配を約束する段階にはない」ものの、
将来的には安定配当を再開する方針を堅持しているという立場です。

企業再建が一段落した段階で、利益水準と財務安定性の回復を条件に配当政策を再検討する方針と読めます。
ここに、「安定配当を志向するが、当面は無配」という明確なメッセージが含まれています。

長期的な文脈:配当休止の背景

同社がここまで長期の無配に至った背景には、構造的な赤字体質があります。
第90期(2021年3月期)以降の経営指標を振り返ると、その軌跡は明確です。

  • 2021年~2023年:北米子会社の減損損失計上、為替損、事業整理損などにより大幅赤字
  • 2024年:4期ぶりに営業黒字転換(営業利益17億円)
  • 2025年:再び純損失91億円(北米再建費用・貸倒引当の影響)

この間、連結純資産は472億円 → 229億円 → 202億円 → 229億円 と大幅に減少し、
財務基盤は脆弱化しました。

そのため、仮に営業段階で黒字を確保しても、過去の損失補填と資本修復に時間を要します。
企業再建と株主還元の両立は現段階では難しく、無配継続は経営判断として合理的といえます。

新たな経営体制と資本政策の変化

2024年11月、河西工業は日産自動車を引受先とする第三者割当増資(A種優先株式 約582万株)を実施しました。
その結果、日産が主要株主となり、取締役2名を派遣。うち1名は代表取締役社長に就任しています。

この増資は、財務基盤の立て直しとともに、経営の透明性・ガバナンス強化を目的としたものであり、
「財務再建フェーズの完了を前提に将来的な株主還元を視野に入れる」動きと考えられます。

とくに日産は、資本参加先に対しても財務規律の徹底と安定配当方針を求める傾向が強く、
今後の河西工業にも中期的にDOE型(純資産配当率重視)配当政策の導入が期待されます。

中期経営計画「Kasai Turnaround Aspiration(KTA)」にみる配当再開の条件

2025年4月に発表された中期経営計画「KTA」では、以下の3本柱を掲げています:

  1. 北米事業の構造改革による収益改善(営業利益率4~5%を目標)
  2. キャッシュコンバージョンサイクルの改善(フリーキャッシュフロー創出)
  3. グローバル組織・ガバナンス体制の再構築

この計画は2027年度を最終年度とし、「経営再建の完了」と「成長軌道への復帰」を掲げています。
すなわち、2027年度以降が復配の現実的なタイミングと推定されます。

仮に営業利益率5%を達成した場合、年間営業利益は約100億円規模。
純利益に換算しても30~40億円レベルが見込まれます。
この水準に達すれば、1株あたり年間配当10~15円(DOE 2~3%水準) の再開は十分射程圏内です。

財務指標からみた復配シナリオ

以下は筆者による中期的な想定シナリオです。

年度予想営業利益予想純利益自己資本比率想定配当コメント
2025年度(現状)△12億円△91億円8.6%0円債務超過に近い。無配継続。
2026年度+35億円△20億円12~15%0円黒字化フェーズ。配当は見送り。
2027年度+70億円+30億円20%10円前後黒字定着。復配の可能性。
2028年度以降+100億円+50億円25%以上15~20円DOE 2~3%水準の安定配当へ。

このシナリオでは、2027~2028年度を境に「再配当期」へと移行する流れです。
特に日産グループ支援下での北米再建が成功すれば、財務指標の改善スピードは加速するでしょう。

業界比較からみる投資家視点

輸送用機器業界全体の平均配当性向は 32.85%、純資産配当率(DOE)は 2.65%
トヨタ・ホンダ・スズキなどは「DOE 2~3%」を安定目標として掲げています。

河西工業も過去にはDOE基準で配当を行っていた時期があり、
再建完了後は業界平均水準への回帰を目指すと考えられます。

ただし、当面は内部留保の積み増しが最優先。
復配後も初期段階では低配当率(10~15円/年)+増配余地ありという形になるでしょう。
黒字定着から配当余力を確認する「慎重な段階的再開」が想定されます。

脱炭素・人的資本経営の文脈と配当の関係

同社はKTAの中で、「脱炭素社会の実現」「人的資本経営の推進」を中長期戦略の柱と位置づけています。
これは単なるCSRではなく、資本市場との対話を重視する姿勢の表れです。

特に、ESG要素を重視する機関投資家は、配当の安定性と同時に「非財務面の持続性」を重視します。
したがって、財務体質の改善と環境・人材投資の両立を進める同社にとって、
「持続可能な利益成長に裏付けられた安定配当」こそが、再上場・再評価への近道となります。

投資家へのメッセージ:配当復活のタイミングを見極める

長期投資家の視点から見ると、河西工業の今後は「再建完了→配当復活→株価再評価」という三段階シナリオが見込まれます。

  1. 2025~2026年:再建・無配継続フェーズ
    北米構造改革・債務削減が中心。配当は実施されない。
  2. 2027年:黒字定着・復配判断フェーズ
    営業利益率5%達成を目標。日産との協働成果が見える時期。
  3. 2028年以降:配当安定化フェーズ
    DOE 2~3%を目標とする業界標準配当政策へ移行。長期保有メリットが顕在化。

配当狙いの個人投資家にとって、「復配直前~初回配当期」が最も魅力的な投資タイミングとなるでしょう。
今はまだ我慢の時期ですが、財務再建の確実性が高まるほど、将来の配当利回り期待は高まります。

長期配当投資評価

レーティング評価:

評価コメント

河西工業株式会社(KASAI KOGYO CO., LTD.)は、現時点において長期配当を狙う投資先としてはおすすめできない銘柄(★1/5)と評価します。理由は主に、①現状の無配継続、②財務体質の脆弱さ、③配当の持続性が見通せない点にあります。

まず、配当利回りについては「0%」です。2020年代初頭から無配が続いており、直近第94期(2025年3月期)も配当実施はありません。したがって、他の日本株の平均利回り(約2.0%〜2.5%)や輸送用機器業界の平均(約2.65%)と比較しても大きく劣後しています。現状では、配当を目的とした投資対象としての魅力はほぼ皆無といえます。

次に、配当の持続性についても課題が大きいです。同社は9期連続で最終赤字を計上しており、自己資本比率は8.6%と低水準。これは製造業として極めて脆弱な財務状態であり、たとえ今後黒字化しても、まずは内部留保の回復に資金を充てざるを得ません。2027年度を目標とする中期経営計画「Kasai Turnaround Aspiration(KTA)」で営業利益率4〜5%を掲げていますが、配当再開は早くても2027年以降と見込まれます。再開までの道のりが長く、持続的な配当原資を確保できる見通しはまだ立っていません。

さらに、連続増配の実績もありません。2010年代後半までは一部で配当を実施していましたが、近年は連続減配から無配に転じ、長期増配銘柄としての信頼性は失われています。これに対し、トヨタ自動車やスズキ、マツダ、デンソーなどは増配・安定配当を継続しており、比較すると河西工業は完全に“再建途上企業”の位置づけにあります。

ただし、将来的に「復配銘柄」としての成長ポテンシャルは存在します。日産自動車による資本支援を受け、北米事業の再構築を進めていること、2024年以降の営業黒字化傾向は中長期的な配当復活への布石です。
そのため「将来性がゼロではない」という意味では、長期目線の再建銘柄としての魅力もわずかに残ります。

しかし、配当狙いの長期投資という観点からは、現時点でリスクが非常に高く、他の日本株(連続増配企業・高配当株)と比較して劣後します。配当利回り・持続性・増配実績のすべてで平均を大幅に下回るため、評価は★1つ(非常に低い)が妥当です。