【独学で合格】OSS-DB Gold合格体験記|PostgreSQLを「使う」から「支える」へ

スキルアップのアイコン

FIRE(経済的自立と早期リタイア)を目指す中で、スキルアップによるサイドFIREを意識する人も増えています。
私もその一人として、昨年取得したOSS-DB Silver(PostgreSQL認定資格)の次なるステップとして、上級資格「OSS-DB Gold」 に挑戦しました。

本記事では、

  • 学習のきっかけ
  • 使用した教材・勉強法
  • 試験の特徴と傾向
  • 合格スコアと体験談
  • 学習を通じて得たこと

をすべて公開します。

OSS-DB Goldとは?

OSS-DB Goldは、オープンソースデータベースの代表格であるPostgreSQLの運用管理スキルを認定する上級資格です。
認定元はLPI-Japan(Linux Professional Institute Japan)で、Silverの基礎力をもとに、「実際にPostgreSQLを安定稼働させる力」が問われます。

項目内容
試験名OSS-DB Gold Ver.3.0
出題範囲運用管理、性能監視、パフォーマンスチューニング、障害対応
受験形式CBT方式(全国のピアソンVUE試験センター)
合格基準70点以上(100点満点)
試験時間90分
認定元LPI-Japan

💡 SQL文の文法問題は一切なく、PostgreSQLをどう構築・運用・保守していくかという“実務視点”が中心です。

学習のきっかけ

Silver合格後、PostgreSQLをより深く理解したいという思いがありました。
特に以下の3点が学習の動機となりました。

  • 実務でPostgreSQLの運用・監視を任される機会が増えた
  • 障害対応やチューニングの知識を体系的に整理したかった
  • FIREを見据えて、「実務で役立つ資格」を資産化したかった

SilverではSQL構文や運用の基礎を学びましたが、Goldでは「PostgreSQLを支える側の視点」が必要になります。
内部構造を理解し、性能や可用性を設計レベルで最適化できることがゴールです。

使用した教材と勉強法

書籍:『[改訂3版]内部構造から学ぶPostgreSQL ―設計・運用計画の鉄則』

何周も読むことで理解を深めることができました。

https://gihyo.jp/book/2022/978-4-297-13206-4

  • PostgreSQLのバッファ管理、WAL構造、VACUUM、インデックス設計など、内部動作を徹底的に解説。
  • 「なぜその設定が必要か?」を理解できる内容で、Gold対策に最適。

Web:PostgreSQL日本語ドキュメント

有志の方が日本語に翻訳してくださっています。

https://www.postgresql.jp/document

  • 特に「監視とチューニング」「パラメータ設定」「障害対応」セクションを重点的に参照。
  • postgresql.confのパラメータやpg_stat系ビューを実際に操作しながら理解を深めました。

ハンズオン学習(実機操作)

知識を定着させるため、書籍に載っていた操作やPostgreSQLの日本語ドキュメントに記載のあった操作の一部をPostgreSQL上で実際に操作しました。

  • WSL環境にPostgreSQLを構築し、設定ファイル(postgresql.conf)を直接編集。
  • EXPLAIN ANALYZEで実行計画を確認し、インデックス設計やキャッシュの効果を体感。
  • pg_stat_activitypg_stat_user_tablesで内部動作を監視。

Silverで使ったping-tのような問題演習サイトは調べた限り存在しませんでした。
そのため、書籍を何周もする+実際に動かしながら理解することが最短ルートだと感じました。

試験の特徴と傾向

試験問題は実務的で、以下のような構成でした。

  • SQL文法の出題:なし
  • 構成設計・パフォーマンス・監視・障害対応:中心
  • 実際の運用トラブルを想定したシナリオ問題が多い

具体的には、次のような内容が問われました。

  • shared_bufferswork_mem の適切な設定値
  • autovacuumの仕組みと負荷軽減策
  • バックアップ戦略(pg_dump・WALアーカイブ)
  • Streaming Replication構築時の注意点
  • インデックス肥大化や遅延クエリの対処法

いずれも、PostgreSQLの内部構造を理解していなければ解けない問題ばかりでした。

試験当日の流れと合格結果

当日の流れ

  • ピアソンVUE試験センターで受験(私は新宿の会場を利用)
  • 顔写真撮影後、試験ルームへ案内
  • 試験時間は90分、私は約70分で終了
  • 結果は即時画面表示+印刷で受領

合格スコア

区分スコア合格基準
運用管理77%
性能監視88%
パフォーマンスチューニング83%
障害対応66%
総合スコア80 / 100(合格)70点以上

学習期間はSilverを取得後約1か月。
毎日1〜2時間のペースで進め、書籍は5週ほどしました。

実際の結果は以下の通りです。

OSS-DB Goldスコア結果

学習を通じて得たこと

  • PostgreSQLの内部構造を理解し、設定の根拠を説明できるようになった
  • autovacuumやチェックポイントの挙動を把握し、負荷対策を設計できるようになった
  • 実務で発生するインデックス肥大化やWAL増大にも冷静に対応可能になった
  • SupabaseやAurora PostgreSQLの運用最適化にも応用できるようになった

Silverが「知っている」レベルだとすれば、Goldは「支えられる」レベル。
開発者から運用者へ、一段上の視点を得られた資格でした。

まとめ|運用を制する者がDBを制す

OSS-DB Goldは、PostgreSQLの運用・監視・チューニング・障害対応を体系的に学べる資格です。
単なる知識の証明にとどまらず、システムを安定稼働させる力を身につけられる点が大きな価値です。

「システムを止めない」という意識を持つことで、
FIREを目指す上でも“技術が資産になる”感覚を実感できました。

次はGoldで学んだ知見をもとに、自社システムや個人開発の可用性設計に反映していきたいと思います。